カウンセリングのなかで「絵」を描いてもらうこともあります。
例えば、親にカウンセリングに連れてこられた不登校の子どもが、話すことを拒否している場合や、小学生などで気持ちや考えを言葉でうまく伝えられない場合に、絵を描いてもらうことを提案します。
一般的な絵画療法では、このようなケースや年齢に限られているわけではありません。
画用紙とクレパスを用意し、どんな絵でも自由に描いてもらいます。
○○の絵を描いたから、**の色を使ったからと、単純にその人の性格や心の内が分析できるものではありません。
また、絵の上手下手が問題でもありません。
描かれた絵を見ながら、少しずつ会話が交わされるようになってきます。
何を思って描いたのが、何が好きなのか、嫌なのか、描き終った今の気持ち、絵から連想されるものなどを話し合います。
カウンセラーもその絵を、常識や一般論ではなく、心で感じていく、雰囲気やパワーや細部を感じていきます。
そんな中で、徐々にあるいは突如、絵とは直接関連のない会話が出てくることもあります。
1回の面談の中で何枚も描く場合もあれば、1枚だけの場合もあります。
何回か続けて描いていくことで、その変化を見ていくことが大事なことです。
アニメのキャラクターを描いた少年は、初めは左向きの顔ばかりだったのが右向きも描くようになったり、上半身が多かった絵が足まで描くようになったり、人数や物の数が変わったり、そして色や背景、描きはじめるまでの様子、時間、描いているときの様子・・・・・など様々な変化がありました。
これらと並行して日常生活での変化、気持ちの変化もみられることも少なくありません。
なお、カウンセリングの中で自由な絵を描いてもらうことは簡単そうですが、ユング心理学、箱庭療法、絵画療法などの理論もしっかり持ちながら、本人の状況、状態を判断して実施する必要があります。
カウンセリングの中ではなく、一人でふと浮かんだ心の風景を描いてみる、
抽象的なものでも現実的なものでも、
想像をふくらませながら自由に描いてみる、
こんな時間を持つのもいいかもしれません。
*絵画療法としては、バウムテスト(樹木画)、HTP(家屋、樹木、人物画テスト)、DDS検査や風景構成法などがあり、検査や療法として確立されています。これらは描く順序や内容が決められており、セラピストやテスターがガイドします。