「慢性疲労症候群」と聞くと、疲労が続く、疲れがとれないなどの誰にでもある症状かと思ってしまいますが、実態は病名のイメージと違い、大変に厳しい病気です。
生活するのが困難なほど強い疲労感が半年以上続くもので、体が鉛のように重く感じて動かせなくなり、寝たきりになることもあります。
しかし、あいまいな病名のために、誤解や偏見を招いているとして、患者団体が病名を変えてほしいと訴えています。
まわりからは「休めば治る」「マッサージを受ければ」「精神的な問題」と言われたり、「家族からも怠け者と叱り飛ばされ、家を追い出された」例も。
一部の医師の誤解や、公的な福祉サービスも受けれない状態にあります。
英国やカナダでは「筋痛性脳脊髄炎」 という病名が使われています。
そんな中、以下の研究が発表されています。
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慢性疲労症候群 「患者脳内に炎症」確認 (毎日新聞 4月5日版より抜粋)
原因不明の疲労が続く「慢性疲労症候群」の患者は脳内で広い範囲の炎症を起こしていると、大阪市立大などの研究チームが4日、発表した。
PET(陽電子放射断層撮影)で確認したという。
慢性疲労症候群は従来の検査では異常を見つけられず、新たな診断法や治療法の開発に役立つ可能性がある。
チームによると、慢性疲労症候群は原因不明の極度の疲労が長期間続き、正常な生活が送れなくなる。
患者は国内に約30万人いるとみられるが、治療法は確立していない。
客観的な指標がないため疲労感、集中力低下など患者の訴えを基に診断し、病気が見過ごされることも少なくない。
認知機能低下や抑うつと関係する脳の各部位に炎症があると、その症状が重い傾向であることも分かった。
チームは今後、PETを使った診断法や治療法の開発を進める。
研究員は「患者は『怠けているだけ』などの偏見に悩むことが多い。
今回、健康な人との違いがあると客観的に示せた。病気への理解が広がってほしい」と話している。
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◆参考 診断指針
日本疲労学会の慢性疲労症候群の診断指針(要約)です。
・前提1
半年以上の原因不明の全身倦怠感に加え、慢性疲労をきたす疾患を除外
・前提2
下記4項目すべてを満たす
(1)新しく発症したもので、急激に発症
(2)十分な休養をとっても回復しない
(3)仕事や生活習慣のせいではない
(4)日常の生活活動が、発症前に比べて50%以下 または、疲労感のため月に数日は社会生活や仕事ができず休んでいる
・前提3
下記10項目のうち5項目以上を認める
(1)労作後の疲労感(休んでも24時間以上続く)
(2)筋肉痛
(3)多発性関節痛
(4)頭痛
(5)咽頭痛
(6)睡眠障害
(7)思考力・集中力低下
・以下は医師が少なくとも1か月以上の間隔をおいて2回認める
(8)微熱
(9)頚部リンパ節腫脹(明らかに病的腫脹と考えられる場合)
(10)筋力低下
(NHK生活情報ブログから一部引用)