book 「赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア」

赤ずきんとオオカミの 「トラウマ・ケア」
——- 自分を愛する力を取り戻す
白川美也子 アスクヒューマンケア 2016

トラウマ支援に関わる人、当事者や家族を対象にという本書。

トラウマ(心的外傷、心の傷)は、災害や事故、犯罪被害など
一度の打撃による傷もあれば、DVや虐待、いじめ、
育児放棄など繰り返される傷もある。
これは、心身の健康や対人行動などに影響を与え、
社会生活、人生を困難にする。

この本では、「赤ずきんとオオカミ」の物語を交えながら、
トラウマの成り立ちと影響、回復への道のり、
支援の方法、姿勢など専門的な内容が網羅され、
それが整理され、とてもわかりやすく語りかけられる。

オオカミに食べられそうになるという恐怖の体験がトラウマに
なった赤ずきんがどう生き延びて回復するのか、
そして襲ったオオカミも実は過去に大きな心の傷をおっていた
ことに気づき苦闘しながら違う生き方を目指すという物語だ。

トラウマの受傷は誰にでも起こりうること。
当事者にとっても、支援者にとっても、手放せない書になると思う。