「思い通りの死に方」
中村仁一 久坂部羊 幻冬舎新書 2012
人生の最終局面をどう生きれば満足できるか、
現役医師2人の対談。
中村氏は「大往生したけりゃ医療とかかわるな」「追いと死から逃げない生き方」
などの著書がある。
「医療は本来患者が利用するもの、主権在患者。
医療者の考える最善と、患者側の考える最善は違うはずです。
患者は一人ひとり、生き方や生活背景や年齢などがことなります。
それらを踏まえて最善を考えます。
ところが、これまでの医療は、これらの個別事情を考慮せずに
一方的に医療側の考える最善を押し付けてきました。」
在宅医療専門の久坂部氏は
「長生きに関する世間のイメージと現実とのギャップが大きい。
90歳を越えるお年寄りの手術が成功すれば称賛する。
しかしそんなお年寄りに手術で苦痛を与えることの是非はだれも言及しない。
1年でも長生きすることに価値があると思っているが、実際には
苦しみながら長生きしてる高齢者が大勢います。」
「植物状態ならまだ穏やかなほう、もっと悲惨な状態はいくらでもある。」
という。
ほんの一部の「スーパー老人」を目指したり、何歳だろうが1%でも
助かる可能性があるなら救命努力するのが正しいと思う、こんな風潮に
疑問を投げかける。
死にたくても死ねない「長寿地獄社会」、
医者の仕事は「病人づくり」、90歳への心肺蘇生は正しいのか
いい看取りかどうかは死んだ人間のみぞ知る、
自然死は怖くない、など
人間にとって本当の尊厳とはなにか、大往生とはなにか
を考えるきっかけになる。