book「やさしいみんなのアディクション」

「やさしいみんなのアディクション」 「臨床心理学」増刊 2016.8

 

若い臨床心理学徒向けという企画。
編集者は「近い将来、アディクションン領域は心理士の主戦場になる」という国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦氏。

薬物、アルコール、ギャンブル、買い物、インターネットなどへの依存症、摂食障害、DV、自傷などへのアプローチと幅広く扱われる。

医学的基礎知識、治療・援助の実際、家族支援、回復とその後などのテーマで各専門家が短くわかりやすく解説する。

すでに臨床にかかわっている人にもとても有用。

一部を紹介する。

「自己治療としてのアディクション」(松本俊彦)から
——————————————-
人はなぜ依存症になるのか。
断言できるのは、決して快楽を貪ったからではないということである。
むしろ、そもそも何らかの心理的苦痛が存在し、誰も信じられず、
頼ることもできない世界の中で、
「これさえあれば、何があっても自分は独力で対処できる」
という嘘の万能感で自分をだまし続けたこと、私にはそれが
依存症の根本的な原因であるように感じられる
——————————————
依存症患者が決まって口にする言葉
「人は必ず裏切るけれど、クスリは俺を裏切らない」
——————————————

松本氏との対談のなかでの
田代まさし氏(日本ダルクスタッフ、自ら回復途上という)の言葉から
——————————————–
世間の人はよく、強い意志で薬をやめてほしいという。
3回捕まった、3回とも本心からやめようと思っていたんです。
でも強い意志なんて何の役にも立たなかった。

薬物依存は病気だと認められているのに「治療」ではなく「更生」という言葉を
使われるのはすごくもどかしい。

最初は半信半疑だった日本ダルクの回復プログラム。
ミーティングのなかで体験や正直な気持ちを話せたこと、
受刑者に手紙を書くなどの人の手助け、役割をもてたと感じられることの大切さ。

環境も変えなければいけないけれど、肝心なのは価値観を変えること、
薬をやめたいという気持ちをあきらめないこと、あきらめなければなんとかなる。
——————————————–