book「統合失調症  その新たなる事実」

「統合失調症」その新たなる事実   岡田尊司 PHP新書2010年

100人に1人がかかるといわれる統合失調症、しかしいまだにある根深い偏見。
精神科医である著者は、統合失調症を語る精神医学の用語が、「感情鈍麻」「平板化」「欠陥状態」などいかに古色蒼然とした非人間的なものかと指摘する。「欠陥状態」を示しているのは精神医学ではないかと。

統合失調症の治療は、良好な回復を示すケースが増えている一方、回復が頭打ちの状況もみられる。
本書は、症状、診断、神経メカニズム、治療と回復についての新たな情報(2010年時点)を伝えている。

薬物療法の重要性と画期的進歩とともに、環境(治療、生活、家族)や社会的心理的かかわりの重要性も指摘する。
更に、文明の歴史と同じ長さの統合失調症の歴史、社会から隔離、抹殺されてきた「闇に閉ざされた歴史」にもふれ、現代社会との関連も指摘する。

治療とかかわりの姿勢で決して忘れてはならないと感じたところを以下に紹介する。

薬物療法が功を奏して、誇大妄想が消える場合は、その人を支えていた希望やよりどころが失われた状態になり,突然自殺してしまうケースもあることを紹介し、以下を述べている。

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「妄想が、本人にとって最後の支えなのだということを理解すれば、それは現実ではないとむげに否定したり、
非難することは、あまり賢明な対応ではないことがわかる。実際否定すればするほど頑固にやぐらを組む。」

「それ(妄想を否定すること)はある意味、神を信じている人に、現実には神などいないと言っているようなものである。
本人からすると、自分のよりどころとしているものを否定されることで、余計に自分の価値が貶められたと感じ、それを代償するためにもっと妄想をエスカレートさせてしまう。」

「重要なのは、本人がどういう状況におかれ、どういう思いを味わっているだろうかと、背後にある気持ちを汲み取ろうとすることなのである。本人は、何を伝えようとしているのか、言葉の背後にあるメッセージを聞き取ることなのである。」

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