book「こころを診る技術――精神科面接と初診時対応の基本」

「こころを診る技術――精神科面接と初診時対応の基本」宮岡等 医学書院 (2014年)

著者 北里大学精神科学主任教授 北里大学病院副院長

本書の内容は、「精神科医であれば実施すべき標準的な面接」「若い精神科医に伝えたいこと」と著者はいう。

そして、著者が今もっとも気にかけていることとして
「向精神薬の多剤大量処方と 薬を処方するしか脳のない精神科医」
(向精神薬なしに精神医療はできないし、適切に使いさえすれば極めて有効であるが)
「あまりにも面接時間が短いだけでなく、精神科医の言葉が患者さんを傷つけているのではないか」
「一方で、安易に精神分析療法や認知行動療法などの専門的精神療法が実施されて、かえって精神療法の副作用がでてるのではないかと疑いたくなることもある」
をあげている。

内容は、「精神科における面接の大切さとその基本、初診面接の具体的症例、面接時の具体的注意点、更に精神分析基礎知識、面接の副作用、診断基準(DSMなど)への考え方、薬物療法の大原則」と、面接スキルだけに終わらないものになっている。

なかでも初診時面接では、「患者と家族とどちらの話からきくか」「病歴や精神症状の尋ね方」「印象は慎重に伝える」「過度に医療化しない」「得意な治療だけを押しつけない」など心理療法家にとっても考えさせられるところが多い。

あとがきにも著者の伝えたいことが凝縮されている。

「患者が医師の指示通りに服薬しないという状況において、患者にどのような問題があるかではなくて、医師の説明にどのような問題があるか、と考えるべき場面は多いし、そう考えないと治療技術は進歩しない。」

「どのような患者感をもっているか、どのような医師―患者関係がよいと考えているのかに関するきちんとして考えがないところに面接法は生まれない。」