book「正しく知る 不安障害  –不安を理解し怖れを手放す–」      

「正しく知る 不安障害  –不安を理解し怖れを手放す–」
水島広子  技術評論社(2010年)

本書は、精神科医であり日本での「対人関係療法」の第一人者である著者が、一般向けに「不安障害」をわかりやすくまとめたものです。
パニック障害、社交不安障害、強迫性障害など個別の不安障害の解説が中心ではなく、そもそも不安とはどんなものか、不安とのつきあい方はどうすればよいかなどが示されています。

不安の症状で仕事や生活に支障が出ている場合、日常的に出てくる不安に悩んでいる場合、治療中の場合など、不安の受け止め方のヒントとしてとても参考になります。

以下、本書から一部(要約)を紹介します。
———————————–

<不安には、解決すべき不安と感じるしかない不安がある>

解決すべき不安は、相手に確認してみることや、調べてみること、相談することで解決できます。
感じるしかない不安は、当たり前の不安、誰が考えても調べても解決しないものです。 新しい土地に引っ越すときは不安ゼロにならない、不安になるのは当然です。
不安に駆られているとき「なんとかしなければ」と焦ってしまいます。無理をしない、自分に甘くする、不安を周りの人と共有することも必要です。

<不安障害の人に対応するには、不安の土俵にのらない>

パニック障害の人に 「パニック発作がまた起こったらどうしよう」と言われて、「もう起こらないから大丈夫」と言っても全く話になりません。「発作が起こっても死なないから大丈夫」と言っても、それで相手が安心することはありません。逆にますます不安をもって「どうしてそんなことが言えるの?」と繰り返し聞いてくるかもしれません。

これは、そもそもそんなに簡単な言葉で解決するなら病気とは言えないし、不安障害は解決不可能な次元に留まって不安が持続している病気なのです。

パニック発作が治るときは、「また発作が起こるだろうか」という次元への答えは保留のまま、どんなときに発作が起こるか、パニック発作はどういう性質のものか、自分のどういう変化を反映したものか、などの次元で答えを得ていくものです。「また起こるだろうか」には「さあ」という程度の答えしかできなくても病気は治っているものです。
不安障害の人の不安をそのままの次元で解決できることはまずないと思ってください。

<不安を単なる感情に戻して、不安への怖れを手放す>

不安は、安全が確保されていないということを知らせてくれる感情ですから、必要なときには出てきます。
この不安の感情は、出ないようにコントロールすることができません。
不安が怖いから、不安を感じるのは未熟だからと思っていると、なんとかコントロールしようとします。不安を過大視した怖れの姿勢です。
必要なときに出てくる単なる感情なので、不安が出てくることを含めて受け入れることができれば、コントロール感覚を持つことができますし、不安に対する怖れを手放すことができるでしょう。