book「慢性疼痛の治療—認知行動療法によるアプローチ」

「慢性疼痛の治療—認知行動療法によるアプローチ」  ジョン・オーティス 訳:伊豫雅臣他 星和書店 (2011年)

「患者さん向けワークブック」

腰痛などの慢性的な痛みに、うつ病などの治療で知られるようになった「認知行動療法」を適用する具体的方法のガイド。
「患者さん用ワークブック」と「治療者向けガイド」の2冊があります。
「治療者向けガイド」は治療を行う医師や心理士向けのものです。

「疼痛」とは、痛みを示す医学用語です。

<腰痛治療の常識の変化>

近年、腰痛治療の常識が変わりつつあります。
患者数2800万人の腰痛では、画像診断したケースの85%が原因不明といわれています。
たとえば椎間板ヘルニアがあっても痛みのないケース、逆になくても痛みのあるケースが多くあったりで、その関連性は
低いことがわかってきています。

85%の原因不明の多くが、心理的、社会的要因(生活や仕事上のストレスや環境)によると判断されています。
(当然、身体的損傷によるもの、他の病気によるものもあります。)

参考情報はこちらから

<本書について>

「認知行動療法」を基本としたセッション(面接)の内容と進め方が、具体的に示されています。
1回60分のセッションが週1回ペースで11回行われます。

最初に、現状とこれまでの経緯、今後について患者さんから話してもらいます。
導入面接票をもとにおよそ60分程度かけて行います。

以下の11回の各セッションでは、前回以降のフォロー、今回行う内容の確認して実施、最後に次回までのホームワーク(宿題)を決めます。

1.慢性疼痛についての教育
痛みによるこれまでに影響を整理し、治療の全体的な目標を決めます。

2.痛みの理論と腹式呼吸
痛みの理論の説明と、痛みを減少させるリラクセーション技法を学びます。今回は腹式呼吸。

3.漸進的筋弛緩法と視覚イメージ
リラクセーション技法の、身体の緊張をほぐす筋弛緩法と、心地よいイメージでリラックスする方法を学びます。

4.自動思考と疼痛
ここからが認知行動療法のメイン、自動思考を考えていきます。
どんな状況で、どんな自動的な考え、感情が起こるのか、その程度とパターンを考えていきます。

5.認知の再構成
前回の否定的な感情を生み出す思考を、より建設的な思考に変えていくことを学びます。

6.ストレスマネージメント
ストレスとはなにか、原因と過程、対処方法を学びます。

7.時間に基づいたペース配分
日常生活、仕事、前回まで学んできたことの実践にあたってにペース配分法を学びます。

8.楽しい活動の予定を立てる
楽しい活動を見つけ出し、日常に組み入れていきます。

9.怒りの管理
痛みに関連することの多い怒りの感情に気付き、反応を修正したり、自己主張的コミュニケーションを学びます。

10.睡眠健康法
睡眠の必要性と改善方法を学びます。

11.再発予防と再燃への備え
再発の合図(身体的、感情的)に気づき、それに対処、再発した時の対処について学びます。

これらを通じて、悪循環の止め、痛みをコントロールできる自分に近づけていく一助となるでしょう。