「友だちの悩み、自分もツラクなったときは」

ETV「いじめをノックアウト」サイトの中で、TFTが紹介されています。

<以下サイトからの引用です>

2019年3月8日寄稿
富田拓郎(中央大学教授 臨床心理士 公認心理師)

◆友だちの悩みのつらさがうつる!?ってホント

私たちは人のつらい話を聞くと、相談を聴いている側もツラくなってくることがしばしばあります。
自分の話じゃないのに、どうしてなんだろう?と思うかもしれませんが、この現象を専門用語では、共感受傷とか二次受傷(もしくは代理受傷)と言います。

例えば東日本大震災のとき小学校低学年から中学年くらいだった子は、直接被災していなくても映像(テレビなど)で震災を疑似体験して、不安な気持ちになったり、ひどい疲れを感じたり、気分が悪くなったりすることで知られるようになりました。これは元々、人間に備わっている「他人に共感して、悲しんだり、喜んだりする」大切な機能の負の側面だと考えられています。
実は、友だちの悩みを聴くときにもおこることがあります。「マダ友との手紙」のように文字であっても、対面で話を聴いているときも、自分までつらくなったり、ひどい疲れを感じることも。人によっては、自分が過去に受けていた嫌な経験を思い出してツラい気持ちになってしまう可能性があります。

◆ツラいな~疲れたな~と思ったときは・・・
友だちの悩みに寄り添うことは、とっても大切なことだと思います。一般に、誰かのために役立っている(=愛他主義)と感じることで、自信を取り戻し、自分の価値を見出すきっかけになりやすいと言われています。でも、聴いている話があまりにもつらいと、自分にとっての重荷になります。どうすればいいのでしょうか?
大切なことは、ツラいな~疲れたな~と思ったときは、ちょっと休憩してみたり、深呼吸をしてみたり、気晴らしに別なことをするようにして、セルフケア=自分を大事にして、自分自身のペースを守っていただくことだと思います。
それ以外のセルフケアの方法として、一つ紹介したいと思います。「つぼトントン」と言われる方法です。言葉の通りつぼを指で軽くたたいたりさすったりすることで、気分を落ち着かせる方法です。これはアメリカの心理学者 ロジャー・キャラハンという人が考えた方法で、東日本大震災、熊本地震の被災地でも、避難生活を送る人や地震に恐怖感を感じる人たちにも伝えられています。もし興味がある方は、以下のサイトでやり方を参照してみてください。

http://www.jatft.org/stress-caring.html
一般社団法人 日本TFT協会HP

富田拓郎(とみた・たくろう)
・中央大学 文学部 心理学専攻 教授。臨床心理士。公認心理師。
・元スクール・カウンセラー。児童・思春期(子ども)から成人(親)に至るまでのトラウマや問題行動などを、心理学的な手法で解決していく研究を行っている。
・自身も小学校から高校まで、いじめの被害を受けた経験があり、いまの研究につながっている要素のひとつと語る、いじめサバイバー。

子ども虐待 こうしてて起きる、こうしてなくせる


子ども虐待はこうして起きる、こうしてなくせる
 
教育評論家・尾木直樹×日本小児科学会会長・高橋孝雄

<以下https://mainichi.jp/ からの引用です>

2019年5月1日 Texts by サンデー毎日

親はなぜわが子に手をかけるのか
 父親が、母親がわが子に手をかける。「しつけ」が高じて、子を殺めてしまう「虐待死」のニュースは後を絶たない。原因はいったいどこにあるのか、どうすれば「虐待」をなくせるのか。教育評論家と虐待死寸前のケースをいくつも診てきた小児科医が語り合った。

「しつけという名の暴力になってないか」
「無関心な社会から孤独な母を救うこと」

 平成が幕を下ろし、新たな元号「令和」を迎える今、子どもにまつわる痛ましいニュースを聞かない日はない。「しつけ」を口実に怒声を浴びせかけ、せっかんして、ろくに食事も与えない。あげく子どもを死なせてしまう。昨年3月には東京都目黒区で5歳の女の子が、今年1月には千葉県野田市で小学4年生の女の子が犠牲になった。「虐待死事件」が重なる連日の報道に胸を痛め、憤った人も多いだろう。なぜ、どうして、わが子を殺(あや)めるのか。尾木直樹氏と高橋孝雄氏が虐待という心の闇に迫る。

   ◇   ◇   ◇

尾木 メディアで「虐待」の2文字を見聞きしない日はないほどです。高橋先生は小児科という現場にいらして実際はいかがですか。

高橋 ぼくたち小児科医が病院で目にする虐待の大半は重大なものです。裏を返せば一握りの被害者しか見えていないことになります。多くのあざを作り、火傷(やけど)をして骨折してくる子もいる。放置すれば死に至るかもしれない子どもを保護する立場にあるわけです。とんでもない修羅場を数多く見てきました。たとえば、両足首から下、真っ赤に火傷をして受診する子もいます。これは煮えたぎった熱湯に足を浸したことを意味しています。このソックス形の火傷は、小児科医なら、一度は見たことがあるでしょう。黒いごみ袋に子どもを入れて空気銃で撃つ、焼き肉用の熱いプレートに足の裏を押しつけるなど、尋常ではない凄惨(せいさん)な仕打ちを見てきました。

尾木 えーっ、そんな空恐ろしいことがあるなんて。1990年に厚生省(当時)が最初に発表した時、年間の虐待相談対応件数は1101件でした。それが最新の発表では約13万4000件! ものすごい跳ね上がりです。背景には「通報しよう」という周囲の人権意識の高まり、学校の教員にも早期発見の義務が課せられたことがありますが、虐待そのものも増えていると実感しますね。

高橋 実際にはもっと多いかもしれません。

尾木 ぼくは講演会やテレビ番組の収録で、子どもに手を上げてしまうお母さんの相談に乗ることもありますが、それは虐待のパラダイムの裾野のほう。先生が実際に診察されてきたのは、険しい山の峰ですね。

高橋 でも裾野が良くならないとこちらも減らない。

「愛の鞭」は思い違い
尾木 ある調査で親を対象に「子どもに手を上げたことはありますか」と聞いたところ、結果は約7割もが「手を上げたことがある」と回答。講演会でも、体罰の弊害について話すと、客席から手が挙がって「親がたたかなくて誰がたたいてくれるのですか! 」と母親から反論される。

高橋 つまり「しつけのためにたたいている」のだと。確か、野田市の虐待死事件の父親は「しつけをしていたら、死んでしまった。これは事故死だ」と供述していましたよね。

尾木 はい。栗原心愛(みあ)さんが命を落とした経緯は、父親からの監視、暴力、そして食事や睡眠を与えられない状態で、最後は風呂場で冷水を浴びせられて死んでしまったのです。

高橋 報道ではこの父親が通常では予想できないような言動をする「境界性の人格障害ではないか」と伝えられています。断言はできませんが、何らかの精神疾患があったように思います。そういう親にPTSD(心的外傷後ストレス障害)の状態で育てられ、最後はリンチで殺された。こんなつらい、せつない死に方はあっちゃいけないですよ。

尾木 心愛さんへの虐待は、とんでもない事件でしたが、ごく日常的な「虐待の芽」も、決して無関係ではないと思います。

高橋 凄惨な虐待と、お父さんやお母さんが感情的にカッとなって手を上げることは、無関係ではない、と。

尾木 「手を上げるのは、愛の鞭(むち)」だと、とんでもない思い違いをされている。そういう意識が、深刻な虐待の根底にありますね。

高橋 それは日本人ならではの意識なのでしょうか。

尾木 そもそも日本は民法822条で親の懲戒権を認めている国で、親は子どもをしつけるために手を上げてもよいと法律で承認しているようなもの。子どもの権利条約(日本では1994年に批准、発効)の規定にも反しているので、国連から何度も法改定するよう勧告されてきました。今回、再び虐待が社会的な問題になって、ようやく民法から懲戒権を削除しようという動きにもなりました。

子どもの権利に鈍感
高橋 子どもの権利という観点は医療の現場でも重要です。健康や命に関わることは子ども自身が納得できるまでやさしく丁寧に説明する。子どもの意思を汲(く)み取り、尊重したいと思います。たとえば、小さな弟が白血病の兄のために骨髄ドナーになることがあります。弟は内心は麻酔や骨に針を刺されるのが怖くてしようがない。でも「お兄ちゃんを助けるために、できるよね」と、医師や両親に説得されてしまう。日本では一般的に15歳未満では同意書に署名するのは代諾者(親)でいいのです。

尾木 日本でも選挙権が18歳からになりましたが、すでに欧州では16歳選挙権が論議されているようです。

高橋 日本では小児科医が診察する年齢は一般に15歳まで。体は15歳で大人並みとみなされるようです。一方、選挙権など高度な意思表示の機会を与えるには未熟と考えているのですね。アメリカやカナダなどの先進国の小児医療では、感染症などよりも、心や社会性、家庭機能の問題が重視されるようになってきているため、心身ともに成熟する21歳までが診療対象に。欧州では18歳までです。

尾木 日本は都合のいい時だけ子どもを大人扱いして、心のケアはしない。「どうせ子どもに言ってもわからない」という傲慢さが隠されています。そこにこそ、虐待の根っこがあるとぼくは思いますね。最新の脳科学では、虐待で子どもの脳の一部が萎縮することが実証されている。家庭での夫婦げんかや、くり返される言葉の暴力でも、脳に影響があるそうですね。

脳の発育が停止する
高橋 ぼくの専門は小児の脳神経ですが、子どもの脳は大切な臓器なので想像以上に堅く守られています。それでも、年単位のネグレクト(育児放棄)が原因で脳の発育が停止した深刻なケースもありました。

尾木 一昨年、東京医科歯科大や米国ハーバード大教授の共同研究で、3歳半の子どもたちの行動を追跡調査しました。良くない行動をした時に「おしりペンペン」された子どもたちは、5歳半の時に、されなかった子どもたちに比べて「落ち着いて話を聞けない」などの行動リスクが高まり、モラルが育っていなかった。手を上げることは、しつけに逆効果だと、科学的に実証されたのです。

高橋 良くも悪くも言葉の力はすごい。それをもっと信じたほうがいいですね。

尾木 体罰を法律で禁止する国は54カ国あり、禁止国では体罰・虐待が着実に減っています。スウェーデンでも、法律ができてから10年ほどで体罰は3分の1に減少したそうです。

高橋 そもそも、しつけとは? あいさつがきちんとできて、お礼やお詫(わ)びが言えることでは。他者への気遣いを教えることでしょうか。自分がされて嫌なことはほかの人にもしない。逆に自分がされてうれしいことを誰かにしてあげる。

尾木 まさにそうですね。

高橋 だとすれば、しつけって「礼儀」を身に着けさせることでは。それには何よりも親が子どもに礼儀正しく接することです。暴力は礼儀正しさですか?

学校教育にも問題点
尾木 ぼくの個人的な体験ですが、父は胸ぐらをつかんだり、怒鳴ったり、一切子どもに手を上げることはしませんでした。それは父自身が幼少期に父親から体罰を受けて育ち、その悔しさから「自分の子どもには絶対にこんな思いをさせてはならない」と決心したから。「よく聞いてね」と何度でも口で諭してくれた。

高橋 それは素晴らしいお父さまですね。負の世代間伝達をご自分の意思で絶ち切られたなんて。

尾木 高校1年の時、クラスメートを蹴る体育教師がいました。許せなくて「先生やめてください、憲法違反です」と叫んじゃった(笑)。そうしたら、「それなら、お前は体育の授業に出るな」と。そして、成績も付けてくれなかった。おかげで父の転勤先の学校に転校した時、編入の受験資格がなく、もう一度高校1年からやり直しました。

高橋 それはつらかったですね。嫌がらせを通り越して権力を悪用した暴力です。

尾木 今、学校では体罰は禁じられていますが、ぼくが問題だと思うのは、運動会の組み体操。死者が出たり、半身不随になる大事故があったりしても、まだやめない。理由は「運動会の花形だから」「団結心が養われる」というもの。

高橋 子どもの安全より、運動会の成果を重んじる。学校は「子どもを育む現場」なのに、成果主義が行き過ぎると子どもを一人の人として尊重する余裕がなくなってくるのでしょうか。

尾木 だから、学校教育の現場で「命を大切に」と教えても、道徳で「命の授業」をしても、子どもたちの心には響かないのだと思います。この3月にも、愛知県豊田市で卒業式直前の女子児童2人による自殺事件がありました。2人の通っていた小学校では年間10回程度、いじめアンケートを実施していたそうですが、「記述がなかった」と。10回もやっては、誰がまじめに書きますか!?

高橋 10回やったと安心していたから気づけなかった。

尾木 いじめを放置したり、見て見ぬふりをしたりするのは虐待と同じです。

高橋 そういう大人たちの、あるいは社会全体の「子どもを蔑(ないがし)ろにする空気」が、家庭での虐待にもつながってくるのでしょう。

白紙の母子手帳に…
高橋 虐待と聞くと、殴る蹴る、たばこの火を押しつけるなどの体罰を連想するかもしれませんが、ぼくが最も恐ろしいと感じるのは、子どもへの「無関心」なのです。その最たるものが、白紙の母子手帳。小児科に初めて受診する時や、地域での健診の時は、必ず母子手帳を持ってきてもらうのですが、書きこんだ形跡がない。あっても空欄だらけ。

尾木 母子手帳は妊娠がわかったら、役所でもらって妊婦健診の度に体重や体調を記入するものですよね。

高橋 出産後も、子の体重や身長、月ごとの成長を書きこむもの。これは日本が世界に誇る成長記録手帳なのです。小児科医は、真っ白な母子手帳を見つけたら、子どもがたとえ健康でも「虐待ハイリスク」として、お母さん自身の心のケアが必要だと感じ取るのです。

尾木 未成年の出産についても気にかける必要があります。親になる実感も覚悟もないまま子どもを身籠もるケースも。しかし、日本では、高校生が妊娠したら、退学させることが多いですよね。海外のように学校の敷地内に保育所を作るぐらいの度量がないので、そうしたお母さんたちが排除されれば、貧困の問題もついて回るでしょう。

高橋 熱湯シャワーで全身を大火傷した3歳の長女を放置して、パチンコに出かけていた母親の報道がありました(今年3月初旬、横浜市鶴見区で発生。保護責任者遺棄容疑で逮捕)。病院に連れていかずに患部にラップを巻いていた。これは「メディカル・ネグレクト」にあたります。ほかにも、高熱が続くのに子どもを医療機関に連れていかないなど。社会的に孤立した状態で、独りぼっちで育児をしている未成年の場合、このような虐待の加害者になるリスクが高くなります。

尾木 このお母さんはまだ22歳。上の子どもが5歳なので、10代で妊娠、出産していることになります。それ自体、批判されることではないけれど、やっぱりそれなりの周りのサポート態勢が不可欠です。

どこまでがしつけ?
高橋 ぼくがよく知っているのは、明らかに常軌を逸脱した「虐待」ですが、「しつけ」と言い訳してビンタしたり、戸外に閉め出したり。どこまでが「しつけ」でどこからが「虐待」になるのでしょうか。

尾木 それ、よく聞かれます。大前提として「しつけ」に体罰はないということです。それでも、手を上げてしまったら、きちんと子どもに謝ること。よく、きつく叱ったあと、寝顔を見ながら「ごめんね」と言うお母さんがいますが、起きている時にこそ、抱きしめて思いを言葉で伝えてほしい。怒ってしまいそうな時には、一旦深呼吸して気持ちを落ち着けてから、「どうしたの?」と、何があったのかやさしく聞いてあげて。子どもに弁解のチャンスを与え、耳を傾け、共感することがポイントです。

高橋 それは子どもに対して健全な関心を持つことを意味します。学業成績など「成果」しか見えていない状態は、無関心と同じです。

母親自身も「被害者」
高橋 ぼくたち小児科医にとって、物言えぬ子どもたちの代弁者となることが大事な仕事ですが、お母さんの代弁者でもあります。野田市の虐待死事件では、娘への虐待を知りながら、通報もせずに、ほう助したという容疑で逮捕されたお母さんも、代弁者の視点で見ると、実は被害者だったのではないかと。夫の暴力的な支配下にあり、自らの意思で娘を虐待していたとは思えないのです。

尾木 警察が母親を逮捕したのは、自殺を防ぐためだったのかもしれない。

高橋 それならば、なぜ、実名報道して顔をさらしたのでしょう。カルロス・ゴーン氏だって保釈時に変装させてあげたのに。ぼくはあのお母さんに、罪を償ったら社会に復帰して、もう一度幸せな家庭を築くチャンスをあげたい。

尾木 本当にそうですね。残された妹のためにも。

高橋 「虐待してしまうかも」と悩むお母さんには、子どもに「ひと」として接していれば大丈夫、自信を持って、と伝えたい。一線を越える時は、子どもを「もの」として見ています。まるで汚れたおもちゃを捨てて、買い直すように。

尾木 子育ては母親一人が背負いこむものではなく、社会全体で担うものです。夜中に泣き声が聞こえたら「何かあった? 大丈夫?」と声をかけてくれる。それだけでどんなに救われるか。

高橋 監視し合う社会になると、虐待はさらに密室に、深く潜ってしまう。騒音が嫌だから保育園建設反対とか、地価が下がるから児童相談所開設に反対だとか。本当に、はしたない。

尾木 (児相建設反対運動が起きた東京の)南青山に児相を開設すれば、子育て支援に積極的な町として、地価が下がるどころか、むしろイメージアップですよ。

高橋 それが成熟した社会の姿だと思います。

尾木 それから、ぼくは、教員は子どもたち、お母さんたちの代弁者であってほしいと思います。野田市の小学校の教員や教育委員会の関係者が減給などの処分を受けましたが、彼らのやったことは「代弁者」と真逆ですよ。心愛さんの命懸けのSOSを踏みにじり、父親を逆上させてしまった。そして、世の子どもたちに「学校は、先生は、秘密を守ってくれない」と、思わせたようなものですから。

児童相談所の役割は
高橋 最近、虐待の加害者である親が逮捕される報道が多い気がします。逮捕が抑止力になるほど、単純な問題ではないのですが。

尾木 児相が責められて、「もっと積極的に踏みこめ」という意見もありますが、児相には保護者の相談に乗ってケアをする立場もあります。その人間が警察官と一緒に自宅に押し掛けたら、もう二度と心を開いてくれない、と聞きます。だから、そこの機能は、児相の中でも部門を分けるなどしないと成り立たない。

高橋 医者に厳しい守秘義務が課されるように、児相にも守秘義務があります。「打ち明けた秘密は極力守られる」という安心感は、心の扉を開ける鍵になる。児相も「警察に安易に情報を漏らさない」と強調してはどうですか。

尾木 医師と児相、ケアする人たちがそれぞれチームになって月に1度でも話し合うのはいかがでしょう。

高橋 違う立場の人々が、母も子も守るという気持ちで協同していただきたい。

尾木 それ、大事な視点です。

高橋 虐待する親は加害者であると同時に、DVなどの被害者のことも。何年かかったとしても、子どもを、親の元へ帰すのが、最終治療目標。最後は親子が、幸せに暮らしていくことを願っています。

(構成/ライター・田村幸子)

心の応急手当 2分間の集中

「心にも応急手当が必要な理由」TED(NHKスーパープレゼンテーション)
ガイ・ウィンチ(ニューヨーク大 臨床心理学博士)


「心にも応急手当が必要な理由」字幕動画

身体に傷を負ったとき応急手当をするように、失敗や孤独など心の傷にも応急手当が必要。
誰もが陥りやすい心のクセ、反芻(はんすう)を克服することの意味とその方法をわかりやすく解説している。

<以下「 」は動画からの引用>

「反すうとは 何度も噛み続けることです。
上司に怒鳴られた時 教授に授業で馬鹿にされた時 友達と大喧嘩をした時
その場面を何日も 頭の中で 繰り返さずにいられません。時には数週間です。 こういった腹の立つ出来事の反すうは 簡単にクセになり、 しかも その代償は とても大きいんです。
非常に多くの時間が 腹立たしくて、ネガティブな思考への集中に使われ、 自分を大きなリスクに さらすことになるからです。
うつ病やアルコール依存症 摂食障害 はては 心血管疾患まで。」

「問題なのは反すうの衝動が非常に強く、それを重要だと思い込んでしまうことです。 そのためこのクセをやめるのは 難しいのです。」

しかし
「研究によると たとえ2分間でも 気を紛らわすと良いんです。 するとその瞬間は 反すうの衝動から解放されます。
ですから不安や動揺 ネガティブな思考におそわれた時はいつも 僕は衝動が去るまで 他の事に集中するようにしていました。
1週間もしないうちに 物の見方が変わりました。もっとポジティブになり 希望をもてるようになりました。」

「孤独な時何か行動を 起こすことによって、
失敗に対する反応を変えることによって、
自尊心を保護することによって、
ネガティブな思考と対決することによって、
あなたは心の傷を 癒せるだけでなく 感情の抵抗力を身につけ 成長できるのです。」

「こんな世界を 想像できますか?
もしあらゆる人が 心理的にもっと健康になったら?
孤独や落ち込みを それほど感じないでいられたら?
失敗の克服法を 知ったら?
自分をもっと好きになり より自信を持つようになったら?
もっと幸せで 充実感を得られたら?
僕には想像できます それが僕の住みたい世界ですからね
皆さんが知識を得て 少しの簡単なクセを直すだけで 住みよい世界が 実現するでしょう 」

今月のことば 2019

<2019.5>
5月の朝の新緑と薫風は、私の生活を貴族にする。
萩原朔太郎

目に涙がなければ魂に虹は見えない。
ミンカス族のことわざ

子どもには、批評よりも手本が必要だ。
ジョセフ・ジュベール

<2019.4>
苦しみや不幸がなかった人生が、善い人生だったのではなく、
苦しみや不幸にも意味が見出せた一生こそは、尊い人生である。
渡辺和子

もし飛べないなら、走りなさい。走れないなら、歩きなさい。
歩けないなら、這っていきなさい。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア

<2019.3>
真の発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目で見ることなのだ。
マルセル・プルースト

自己評価を高くするのに必要なのは、決して〈自分の欠点をなくす〉ことではありません。
必要とされるのは、〈自分の欠点を受け入れる〉ことです。
クリストフ・アンドレ

<2019.2>
他人の短所を見れば憂うつになり、他人の長所を見れば人生が明るくなる。
デール・カーネギー

怒りにしがみついているのは、誰かに投げるために真っ赤に燃えている石炭をつかむようなもの……火傷するのは自分自身だ。
仏陀

<2019.1>
本当の人間の価値は、すべてがうまくいって満足しているときではなく、
試練に立ち向かい、困難と闘っているときにわかる。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア

平凡の中に秘められたる、苦心、工夫、働きの凡ならざるところが、芸の尊きところにて候。
世阿弥

ビジネスパーソン ストレス調査

2019年 ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査

チューリッヒ生命が、毎年実施している「ストレス調査」の結果が発表されています。

https://www.zurichlife.co.jp/aboutus/pressrelease/2019/20190424_01

 ビジネスパーソンの約8割が「ストレス」を抱え、過去3年間で最高値
 働き方改革後、「ストレスが増えた」人が4割。
 大型10連休に対しても、「ストレスを感じる」人が4割!

 働き方改革によってストレスが減ったかについては、次のような回答でした。「 働き方改革によって、取り組み前と比較してストレスはどのように変化しましたか」(単数回答)n=357

Q4で勤め先が働き方改革に取り組んでいると回答した人に対して、取り組み前と比較してストレスがどのように変化したかを聞きました。
男女、全年代でストレスが減ったと感じている人が過半数以上となりました。
特に20代の女性の7割以上はストレスが減ったと感じています。Q1では、最もストレスを感じている年代でしたが、働き方改革により、労働環境が改善してきているのかもしれません。
一方、ストレスが増えたと感じている人も半数近くおり、30代男性では4人に1人が「とてもストレスが増えた」と回答しました。働き方改革が、必ずしも全ての働く人にとって、仕事のストレス低減に結びついているわけではないようです。

book 「ポリヴェーガル理論 」

「ポリヴェーガル理論入門  心身に変革をおこす「安全」と「絆」」
ステファン・ポージェス
春秋社 2018/11/6

副交感神経の2つの迷走神経と、トラウマ・PTSD・自閉症スペクトラムなどとの関連を解明。治療への神経系の重要な役割を示す先進的理論。初邦訳。

今月のことば 2018

<2018.12>
過去の記憶がお前に喜びを与えるときにのみ、過去について考えよ。
ジェーン・オースティン

もしあなたが自分の能力の限界を感じているとしたらこのことを知ることだ。
あなたの能力の限界はあなたの思考がもうけた境界線であり、あなたが自ら築いた壁である。
ジェームズ・アレン

有能な人間は失敗から学ぶから有能なのである。成功から学ぶものなどたかが知れている。
ウィリアム・サローヤン

<2018.11>
ある人に合う靴も、別の人には窮屈である。
あらゆるケースに適用する人生の秘訣などない。
カール・ユング

受け入れることなしに、何も変えることはできない。
カール・ユング

<2018.10>
楽天家は、困難の中にチャンスを見い出す。
悲観論者は、チャンスの中に困難を見る。
—ウィンストン・チャーチル

悪がわれわれに善を認識させるように、
苦痛はわれわれに喜びを感じさせる。
—ハインリヒ・フォン・クライスト

運の良い人々とは、強い信念を維持し、数々の犠牲を払い、
粘り強い努力を続けてきた人々である。
—ジェームズ・アレン

<2018.9>
ちょっと何かに関心をもって細かいところを見るようになれば、
人生や世界は面白くて仕方ないところです。
—養老孟司

他人のように上手くやろうと思わないで、自分らしく失敗しなさい。
—大林宣彦

誰しも幸福を望みますが、それを実感することにおいてはきわめて鈍感です。
—日野原重明

貴方の心が正しいと感じることを行いなさい。
行なえば非難されるだろうが、行なわなければ、やはり非難されるのだから。
—エレノア・ルーズベルト

<2018.8>
暗闇を呪うよりも、ロウソクに火を灯したほうがいい。
It is better to light a candle than to curse the darkness.

完全を求めることは、人間の心を悩ませるこの世で最悪の病である。
—ラルフ・ウォルド・エマーソン

自分にできないと考えている間は、本当はそれをやりたくないと心に決めているのだ。だから、それは実行されはしない。
—バールーフ・デ・スピノザ

<2018.7>
新しい試みがうまくいくことは半分もない。
でもやらないと、自分の世界が固まってしまう。
—羽生善治

争いよりは愛情を、非難よりは理解を、愚痴よりは建設を。
—加藤諦三

<2018.6>
誰も称賛してくれる者がいなくても自分のことは自身で称えよ。
—ロバート・バートン

あなたを傷つけたいと思っている敵に出会ったら、
それを忍耐や寛容を覚える機会だと考えましょう。
—ダライ・ラマ14世

<2018.5>
誰かのかわりに選択することはできない。誰かに自分の選択をさせるべきではない。
―――コリン・パウエル

強い光のあるところには、濃い影がつきまとう。
— ゲーテ

この世に「雑用」という用はありません。
私たちが用を雑にした時に、雑用が生まれます。
―――渡辺和子

<2018.4>
人がいちばん惑わされやすいのは
自分自身の考えによってだ。
— レオナルド・ダ・ヴィンチ

<2018.3>
大人がオープンで寛容な心を持たなければ
子供に寛容性は育たない。

勝った試合より負けた試合から数多くを学んだ
スポーツは人にとって最も大切なことを教えてくれる。
—- ノバク・ジョコビッチ

大人がのばす個性は、個性ではない。
—- (TEDより)

<2018.2>

毎年、気持ちは変わりますし、体も微妙に変わります。
いいフォームが、何年経ってもいいとは思いません。
その時々の自分にあうフォームがかならずあるはずです。
—- イチロー

<2018.1>

笑いとは、地球上で一番苦しんでいる動物が発明したものである。

―――フリードリヒ・ニーチェ

あなたは、ひとつの庭です。

この庭に帰ってきて、
よく良い種だけに水をやる方法を身につけておくと、
落ち着き、安らぎ、希望、喜びに満たされます。

そうして初めて
他の人の庭の手入れを手伝うことができます。

でもまずは、自分自身に立ち帰って、
自分の庭を手入れします。

それが一歩です。

—–ティク・ナット・ハン

<2018.0>
深く探求すればするほど、知らなくてはならないことが見つかる。
人間の命が続く限り、常にそうだろうとわたしは思う。
—アルベルト・アインシュタイン

人がいちばん惑わされやすいのは、自分自身の考えによってだ。
—レオナルド・ダ・ヴィンチ

他人のために尽くすことによって自己の力を測ることができる。
—ヘンリック・イプセン

自分を否定し嫌っている人に「自分」はありません。
「自分らしさ」が愛せて、初めて自分らしさが育ってゆきます。
—渡辺和子

「マインドフル・ゲーム ―ゲームで 子どもと学ぶ マインドフルネス」

「マインドフル・ゲーム―60のゲームで 子どもと学ぶ マインドフルネス」
スーザン・カイザー グリーンランド
金剛出版 2018/7/13

ゲームの活用というこれまでのマインドフル実践と指導には見られなかった手段を紹介、判断をせず、ありのままを見つめ、自分にも他人にも思いやりをもって生きていくマインドフルネス入門書

裁量労働制の3人労災 過労自殺 裁量労働制を廃止

朝日新聞9/27(木)

三菱電機の男性社員5人が長時間労働が原因で精神障害や脳疾患を発症して2014~17年に相次いで労災認定され、うち2人が過労自殺していたことがわかった。5人はシステム開発の技術者か研究職だった。3人に裁量労働制が適用されており、過労自殺した社員も含まれていた。労災認定が直接のきっかけではないとしながらも、同社は今年3月、約1万人の社員を対象に適用していた裁量労働制を全社的に廃止した。

 16年11月、情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)に勤めていた研究職の30代の男性社員が、長時間労働が原因で精神疾患を発症したとして労災認定され、本人がその事実を公表した。柵山正樹社長(当時、現会長)は17年1月の記者会見で「二度とこのような事態が起こらないように取り組む」と陳謝し、労働時間の正確な把握に力を入れる考えを示していた。朝日新聞の取材で、これ以前にも労災が2件、17年にも2件認定されていたことが新たにわかった。

 関係者によると、5人のうち裁量労働制を適用されていたのは3人。このうちコミュニケーション・ネットワーク製作所(兵庫県尼崎市)に勤務していた40代の社員は、長時間労働が原因で精神障害を発症して自殺したとして17年6月に労災認定された。若手のため裁量労働制を適用されていなかった名古屋製作所(名古屋市)勤務の社員(当時28)も精神障害を発症し、14年12月に過労自殺と認められており、4年間に2人が過労自殺していた。

 三田製作所(兵庫県三田市)に勤めていた40代の社員は13年に脳梗塞(こうそく)を発症。東京・丸の内の本社勤務だった40代の社員も、16年にくも膜下出血を発症した。この2人も長時間労働が発症の原因だったとして、それぞれ15年3月と17年8月に労災を認められた。

 裁量労働制は実際に働いた時間にかかわらず、一定時間を働いたとみなして残業代込みの賃金を払う制度。労働時間管理が甘くなり、長時間労働を助長する危険性が指摘されてきた。制度の廃止により、対象だった社員は原則として残業時間に基づいて残業代を受け取る働き方に変わった。同社は多少の人件費の伸びを見込んでいるという。

 三菱電機は朝日新聞の取材に対し、新たにわかった4件の労災認定の事実をすべて認めた。4件とも社内に周知していないという。それぞれ「個別の事情がある」(人事部)として、労務管理に構造的な問題はないとしている。

book 「発達障害支援のコツ」

「発達障害支援のコツ」
広瀬 宏之 (著) 岩崎学術出版社 2018.6.14

発達障害の知識や支援の技法というよりも、発達支援にあたってのごく基本的な心構えや、支援に取り組む際のコツが中心。
発達障害の支援の原則は対人支援の原則と重なる。20年に渉る現場での体験もふまえ支援にかかわる人に語りかける

book 「高機能アルコール依存症を理解する ーお酒で人生を棒に振る有能な人たち 」

「高機能アルコール依存症を理解する 」
セイラ・アレン・ベントン 星和書店 2018.1.25

「お酒で人生を棒に振る有能な人たち」というサブタイトル、有能な仕事ぶりによって自分も周囲も依存症と気づかないとても多くのひとたち、その実態と回復への道。

book 「誰もが知りたいADHDの疑問に答える本」

「誰もが知りたいADHDの疑問に答える本」
ステファン・P・ヒンショー (著), キャサリン・エリソン (著), 星和書店 2018.3.10

特定の学説や治療法に偏らず公平に紹介、科学的基礎理論や医療情報を解説。過剰診断や治療薬の不適切投与などにつての情報もある。

別人格が万引き認定、東京高裁

別人格が万引き認定、高裁「責任能力は限定的」
(読売新聞 4/21)

窃盗罪に問われた30歳代の女性の刑事裁判で、東京高裁(朝山芳史裁判長)が、解離性同一性障害(DID)により女性本人とは別の人格が犯行に及んだと認定し、女性の刑事責任能力を限定的とする判決を言い渡していたことがわかった。

極めて異例の司法判断で、同種事例の判断に影響を与える可能性がある。

確定判決によると、女性は2016年7月、静岡市内の3店舗で化粧品や衣類など計139点(計約33万円相当)を万引きした。

女性の弁護側は静岡地裁での1審から、「女性とは別人格の『ユズキ』の犯行で、女性には記憶がない」などと無罪を主張していた。

女性側の主張では、女性は16年7月、食品を買うため自宅を出た瞬間、別人格のユズキの声が聞こえて意識を失った。女性は「気づいたらスーパー駐輪場にいた。エコバッグはぱんぱんに膨らみ、中には値札が付いたジーンズがあった」と述べた。財布の現金は減っていなかったという。

教職員過労死 10年で63人 専門家「氷山の一角」

毎日新聞 2018年4月21日 東京朝刊

過労死と認定された公立校の教職員が2016年度までの10年間で63人に上ることが、地方公務員災害補償基金(地公災)への取材で明らかになった。教職員の長時間勤務が問題となっているが、政府は過労死の数を把握しておらず、認定された数が公になるのは初めて。専門家は「他業種との比較は難しいが、認定申請すらできずに泣き寝入りしている遺族も多く、認定されたのは氷山の一角。政府は早急に実態を把握すべきだ」と指摘する。

毎日新聞は47都道府県と20政令市にある地公災の全支部に対して1月にアンケートを実施。業務での過重な負荷による脳・心疾患が原因で死亡、または精神疾患で自殺したとして、07~16年度の10年間に公務災害に認定された公立の幼稚園、小中学校、高校、大学などの教職員や教育委員会職員の数を尋ねた。

この間に認定申請があったのは92人で、認定されたのは63人。申請から認定までは1年以上かかるのがほとんどで、63人には07年度以前の申請分も含まれる。

支部別で認定が最も多かったのは東京都の8人で、神奈川県6人、宮城県5人、大阪府4人と続いた。大半の支部が性別や死亡の経緯を「個人情報の保護」を理由に伏せる中、東京都は内訳を小学校教員5人、中学校教員2人、高校教員1人で23~57歳、神戸市は中学校の52歳の男性教頭1人だったと明らかにした。

公務災害補償は、民間労働者が対象の労災とは制度が異なるため、厚生労働省が毎年公表する過労死件数には含まれない。政府は昨年12月、過労死した教職員の人数を尋ねた立憲民主党の長妻昭衆院議員の質問主意書に対し、「発生件数について網羅的に把握していない」とする答弁書を閣議決定している。

文部科学省の3年ごとの調査によると、死因は公表されないものの、在職中に死亡した公立校の教員は09年度以降、400~500人で推移している。

別の調査では16年度に中学校の教員の6割、小学校の3割が過労死ライン(時間外勤務月80時間)を超えて働いている実態が判明した。

教員の労働問題に詳しい樋口修資・明星大教授(教育学)は「学校では勤務時間の把握が遅れているため、公務災害の認定申請をするのも難しいのが実情だ。政府は教員の働き方改革を進めるなら、長時間勤務の最悪の結果である過労死の実態をまず把握すべきだ」と話している。

book 「小児期トラウマがもたらす病」

「小児期トラウマがもたらす病  ACEの実態と対策」ドナ・ジャクソン・ナカザワ  出版:パンローリング 2018.2.18

ACE(逆境的小児期体験)と成人後の身体・精神疾患発症の関連が、明らかになった大規模研究。
生化学レベルでの理解と疾患の実態、事例とその対策。

裁量労働制50代社員が自殺 残業1カ月最長180時間

 裁量労働制を対象外の社員に違法適用していたとして昨年、厚生労働省東京労働局の特別指導を受けた不動産大手の野村不動産(東京)で、違法に適用されていた50代の男性社員が2016年9月に自殺し、長時間労働による過労が原因として労災認定されていたことが4日、関係者への取材で分かった。

 関係者によると、東京本社に勤めていた男性社員が自殺し、遺族が労災を申請。労働基準監督署が調べたところ、認定基準を超える長時間労働が確認されたとして、昨年12月に労災認定した。多い時で1カ月に180時間の残業があった。

 野村不動産は約1900人の社員のうち約600人に企画業務型を適用していたが、労働局の調査で、多くの社員が対象外となる営業活動をしていたことが判明。是正勧告とともに、昨年12月25日、社長に直接、改善を指導した。野村不動産は今年4月から裁量労働制を廃止するとしている。

産経ニュース2018.3.4

book 「想像ラジオ」

「想像ラジオ」いとうせいこう 河出書房2013

今は、3.11東日本大震災から7年目の3月。

杉の木の上で亡くなった主人公が、想像という電波を通じでDJとして
リスナー(行方不明者)からのメッセージを受け取っていく。
メッセージを送り出していく。
すべてが想像、しかしとてもリアルに迫ってくる。とても重い。

「生者と死者は持ちつ持たれつなんだよ。
決して一方的な関係じゃない。
どちらかだけがあるんじゃなくて、ふたつでひとつなんだ」

「亡くなった人はこの世にいない。
すぐに忘れて自分の人生を生きるべきだ。まったくその通りだ。
いつまでもとらわれていたら生き残った人の時間も奪われてしまう。
でも、本当にそれだけが正しい道だろうか。
亡くなった人の声に時間をかけて耳を傾けて悲しんで悼んで(いたんで)
同時に少しずつ前に歩くんじゃないのか。死者とともに」
「たとえその声が聴こえなくてもだ」

とても考えさせられるというより、感じさせられる一冊。
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DJ番組なので、毎回ミュージックが贈られる。
その最後の一曲を紹介。
ボブ・マリーのラストアルバム「リデンプション・ソング」(救いの歌)

ボブ マーリー/Redemption Song《和訳》解放と救いの詩

京都市職員が過労自殺 残業月100時間超、市が謝罪・賠償

京都市職員が過労自殺 残業月100時間超、市が謝罪・賠償

京都新聞 2018年2月9日(金)

京都市交通局の男性職員が2013年10月、過労死ラインの月100時間を超える残業が原因で精神疾患を患って自殺していたことが9日、分かった。遺族は市を相手取り、約1億1700万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、市が「勤務状況への配慮が不十分だった」と謝罪した上で遺族に5千万円を支払う内容で和解することで今年1月に合意した。

交通局によると、当時43歳だった職員は13年10月31日、大阪市内で自殺した。14年4月からの消費税増税に伴う市営地下鉄と市バスの運賃改定を担当し、死亡前1カ月の残業は100時間30分だった。労使協定(三六協定)では残業の上限は80時間と規定しているが、同局は「公務のため臨時の必要がある」として上限を超える残業を認めた。

遺族は京都市に安全配慮義務違反があったとして、16年6月に奈良地裁に提訴した。和解条項などによると、市は職員を長時間労働に従事させた上、職員の精神的、身体的な不調に気付かなかった点を「市の配慮が不十分だった」と謝罪し、賠償金を支払うとした。市は16日開会の2月議会に関連議案を提出する。可決後に和解が成立する。

地方公務員災害補償基金京都市支部は15年12月、職員の死亡について公務による精神疾患を原因とする自殺と認定している。

長時間労働を巡っては近年、電通社員の自殺やNHK記者の過労死が問題となっている。市交通局職員課は「超過勤務で職員が自殺したのは残念。働き方改革の流れの中、勤務状況の把握と健康管理を進めて再発防止に努めたい」とコメントした。

book「ギャンブル依存症からの生還―回復者12人の記録」

ギャンブル依存症からの生還―回復者12人の記録

ギャンブル依存症からの回復の記録
主に自助グループの重要性が再確認される。
ギャンブル依存症は、薬物依存などと同じで本人の意思の問題ではなく、治療、社会的支援が不可欠。

book「疑似カジノ化している日本:ギャンブル依存症はどういうかたちの社会問題か?」

「疑似カジノ化している日本:ギャンブル依存症はどういうかたちの社会問題か?」

ギャンブル依存症の社会的問題をわかりやすくまとめたレポート

日本のギャンブル依存症者は536万人、その有病率は男性9.06%、女性1.6%。
米欧の0.2~5.3%と比べ、突出して高い。
背景には日常に深く浸透しているパチンコの存在があり、人口の28人に一台、
世界のギャンブル機の6割が日本に設置されていると言われている。

●「過労事故死」認め和解勧告 通勤にも安全配慮義務/横浜地裁支部

徹夜勤務明けにミニバイクで帰宅途中、事故死した新入社員の両親が、過労による睡眠不足が原因だとして勤務先に損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁川崎支部の橋本英史裁判長は8日、通勤方法にも会社側の安全配慮義務があるとして「過労事故死」と認めた上で、和解勧告した。

遺族が厚生労働省で記者会見し明らかにした。和解条項には解決金支払いのほか、既に実施している労働時間管理や勤務間インターバルなど再発防止状況の公表も含まれ、双方が受諾した。

死亡したのは、商業施設で植物の設営などを行う「グリーンディスプレイ」(東京都)の新入社員だった八王子市の渡辺航太さん=当時(24)=。アルバイトから社員登用されて間もない2014年4月、夜通しで勤務した後、単独事故を起こした。居眠り運転だったとみられる。

橋本裁判長は勧告で、直前1カ月の残業が91時間余りに及んだとして、「顕著な睡眠不足」を認定。バイク通勤は会社の指示だったと指摘した。

電通新入社員の過労自殺にも言及し、「過労死撲滅は喫緊に解決すべき重要課題で、従業員や家族、社会全体の悲願だ」と強調。過労死等防止対策推進法の定義に該当しない過労事故死についても「過労死や過労自殺の類型とともに防止対策の推進が期待される」とした。

母淳子さん(61)と代理人弁護士は記者会見で、「過労事故を防ぐ会社の安全配慮義務の先例となり、画期的だ」と高く評価した。

(時事通信)
2018年2月8日

決まり文句の危うさ

「自己効力感」「早期療育」など・・・決まり文句の危うさ

ある出版社の通信に佐藤暁(さとうさとる、岡山大大学院教授、専門障がい児教育)の短文が出ていた。

 

よくある決まり文句(ストックフレーズ)を使っていればその分野ではとりあえずそれらしく受け入れられる。がその語彙がよく吟味されることなく、表面的な響きだけが流通してしまうことは危ういと指摘。

たとえば「自己肯定感」という言葉について

引用——————————
(心理臨床において)自分がだめな人間であると思い込み、投げやりになっている人、すなわち「自己否定」に陥った人に対して「あなたにもいいところがたくさんあるのだから、自分を否定せず前を向いて進みましょう」というメッセージが必要だった。そこで「自己肯定感」という造語が生まれた。

しかし、少し考えればわかることだが、実際、自分を肯定し続けながら生きていくのはとても大変である。まして、それが人のあるべき姿なのだ啓発されたりすると、できない人はますます追い詰められる。
だから、たいていの人は、否定も肯定もせず、むしろそんなことをあまり考えずに日々すごしているのだと思う。
—————————–引用終

 

また氏の専門分野の障がい児教育の分野でもよく使われる「早期療育」「ソーシャルスキルトレーニング」「就労支援」などの言葉について

引用(一部略)———————-
障がいのない子どもにさせないことを、障がいのあるという理由でさせるのは、よほど慎重でなくてはいけない。
「早期療育」の効果がどこまであるのか、それよりは、仲間とともに通う保育園で楽しく穏やかに過ごせる環境を整えてあげたほうがいい。ふつうだったら、まだやんちゃな時期から、社会的な振る舞いが求められるのはなぜなのだろう。

「就労支援」にしても、教科の勉強の時間をさいてまで、実習三昧の学校生活でいいのか。

親からすれば、「療育に通わせ、トレーニングを受けさせ、早くから就労に備えるのがいい」と聞かされれば気持ちは動く。だからいっそうストックフレーズは浸透しやすい。
もちろんそれらをすることじたい悪いことではないのだが、かたや見えない圧力に息苦しさを感じている親も少なくない。
——————————引用終

 

決まり文句は、間違いではなく意味はわからなくはないが、それにはどこかしっくりこない、しらじらさを感じる。これらを使うときは自覚的にならなくてはいけないと指摘。

この指摘はとてもしっくりくる言葉である。

 

 

氏は、それまでと違った言葉で子育てのことを語ってみるとのことで「わが子に障がいがあると告げられたとき」を今年出版している。

 

 

 

「コップ半分の水」

「あなたの前に、水が半分入ったコップが出されました。あなたはどんなことが頭に浮かびますか?どう感じますか?」

これは、ものの見方、感じ方には正解がない、感じ方は人によって、場合によって違うのは自然、一つに決めつける必要はない、ということを考えてもらうときによく使われる質問です。

「半分しかはいっていない」「がっかり」「失礼だ」
あるいは
「半分もはいっている」「喉がカラカラで助かった」「ありがたい」「よかった」
と全く違う反応が起こります。

どちらもあり得る、見方は一つではない、「リフレーミング」や「認知の仕方」などのわかりやすい一例です。

この質問を受けたKさんは、うつむきながらしばらく考えてから「気をつかって水を入れてくれたんですね・・・・」と小声で答えました。

「半分しかない」「半分もある」のどちらかを待っていたカウンセラーは、一瞬戸惑いながら「あー・・・・なるほど・・・」と言いながら、
二つのどちらかの答えがあるに違いないと安易に構えていたことに気づかされます。
とらえ方は幾通りもあることは分っているつもりでいたのに、です。

そしてカウンセラーは、ずっとKさんが背負ってきた対人不安の重さ、苦しさをよりリアルに感じることになったのです。

 

 

「慢性疲労症候群」は単なる過労、怠けではない    

「慢性疲労症候群」と聞くと、疲労が続く、疲れがとれないなどの誰にでもある症状かと思ってしまいますが、実態は病名のイメージと違い、大変に厳しい病気です。

生活するのが困難なほど強い疲労感が半年以上続くもので、体が鉛のように重く感じて動かせなくなり、寝たきりになることもあります。

しかし、あいまいな病名のために、誤解や偏見を招いているとして、患者団体が病名を変えてほしいと訴えています。

まわりからは「休めば治る」「マッサージを受ければ」「精神的な問題」と言われたり、「家族からも怠け者と叱り飛ばされ、家を追い出された」例も。

一部の医師の誤解や、公的な福祉サービスも受けれない状態にあります。

英国やカナダでは「筋痛性脳脊髄炎」 という病名が使われています。

そんな中、以下の研究が発表されています。
———————————–
慢性疲労症候群 「患者脳内に炎症」確認  (毎日新聞 4月5日版より抜粋)

原因不明の疲労が続く「慢性疲労症候群」の患者は脳内で広い範囲の炎症を起こしていると、大阪市立大などの研究チームが4日、発表した。
PET(陽電子放射断層撮影)で確認したという。
慢性疲労症候群は従来の検査では異常を見つけられず、新たな診断法や治療法の開発に役立つ可能性がある。

チームによると、慢性疲労症候群は原因不明の極度の疲労が長期間続き、正常な生活が送れなくなる。

患者は国内に約30万人いるとみられるが、治療法は確立していない。
客観的な指標がないため疲労感、集中力低下など患者の訴えを基に診断し、病気が見過ごされることも少なくない。

認知機能低下や抑うつと関係する脳の各部位に炎症があると、その症状が重い傾向であることも分かった。

チームは今後、PETを使った診断法や治療法の開発を進める。
研究員は「患者は『怠けているだけ』などの偏見に悩むことが多い。
今回、健康な人との違いがあると客観的に示せた。病気への理解が広がってほしい」と話している。

———————————–

◆参考 診断指針
日本疲労学会の慢性疲労症候群の診断指針(要約)です。

・前提1
半年以上の原因不明の全身倦怠感に加え、慢性疲労をきたす疾患を除外

・前提2
下記4項目すべてを満たす
(1)新しく発症したもので、急激に発症
(2)十分な休養をとっても回復しない
(3)仕事や生活習慣のせいではない
(4)日常の生活活動が、発症前に比べて50%以下 または、疲労感のため月に数日は社会生活や仕事ができず休んでいる

・前提3
下記10項目のうち5項目以上を認める
(1)労作後の疲労感(休んでも24時間以上続く)
(2)筋肉痛
(3)多発性関節痛
(4)頭痛
(5)咽頭痛
(6)睡眠障害
(7)思考力・集中力低下

・以下は医師が少なくとも1か月以上の間隔をおいて2回認める
(8)微熱
(9)頚部リンパ節腫脹(明らかに病的腫脹と考えられる場合)
(10)筋力低下

(NHK生活情報ブログから一部引用)

 

 

<トラウマからの解放> EMDRによる治療

9月14日(10月5日再放送)のETV特集で「トラウマからの解放」が放送されていました。

災害、事件、事故、虐待、ハラスメントなど深いこころの傷(トラウマ)が、深刻な疾患や生きづらさ、そして日常生活や仕事に大きな影響を与えます。

番組では、トラウマ治療の場面が生々しく放映されていました。
この中で、新しい治療として
「EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)」の有効性が紹介されています。

EMDRでは、セラピストの指示により患者が眼球を動かします。
眼球を動かすことで、脳内の記憶領域にアクセスし、トラウマの影響をなくしていきます。
日本でも、実施している病院、機関も増えてきています。

こころ工房で実施している「TFT(思考場療法)」も、EMDRなどとおなじエネルギー療法といわれる治療分野です。

TFTの治療手順には、もともと眼球運動もはいっており、実際にトラウマ治療にもとても有効に活用しています。